ネコから学ぶ自己治癒力(新型コロナ考5)

ネコちゃん7ヶ月

昨年(令和元年)11月26日に命拾いした野良子ネコちゃん。その経緯は以前に書いたので省きますが、我が家のネコとなりはや6ヶ月が経ちました。当初は手のひらに乗っかる大きさだったのですが、この半年で随分と大きくなり今では両手で抱っこしなければならなくなり、もう子ネコちゃんとは言えなくなりました。ホントにかつて手のひらに乗っていたのだろうかと疑わしく思ったりもします。ネコちゃんは体だけが大きくなったわけではありません。随分とその態度も大きくふてぶてしくなりました(笑)。人をからかって後ろからパンチを浴びせてきたり、逆にこっちがちょっとからかうと噛みついてきたりして、私の腕はしばしば傷だらけとなっています。また行動範囲もどんどん広がり、最初は家の中だけだったのが、今では外に出るとしばらく帰ってこなくなることもあります。

けれどもやはりまだ生後7か月の経験の少ないネコちゃんです。近所には何匹かの野良猫がいるのですが、そのうちの2匹が我が家をテリトリーとしているようで、うちのネコちゃんがオスということもあり、見つけるたびに攻撃してくるようです。初めて襲われた日は家に戻ってくると恐怖のあまり体をブルブルと震わせていました。そしてその日1日は寝床にこもっていました。今でも襲われた後はうちに逃げ帰ってきて、時に凹んでしばらくの間引きこもりネコとなっています。

ネコちゃん病気となる

数か月前のこととなりますが、我が家のネコちゃんは家の前の道路でギャッという叫び声をあげると同時に走って戻ってきました。どうやらボス猫に不意打ち攻撃をくらい、その際に左手(左前脚)の小指に当たるところを噛まれるか、引っかかれるかしたようです。庭に戻ってきてからどこか左手を痛がっている様子が見受けられました。しばらくの間庭にいたのですが、その後凹んで寝床に入っていました。翌日の朝から座っているときは左手をずっと上げているようになり、歩くのもびっこを引くような歩き方となりました。手を見てみると左小指の周辺が腫れあがっており、痛々そうでした。その日は餌を与えてもほとんど食べず、すぐに寝床に戻りひたすら寝ていました。昼頃に餌をあげようと声をかけたのですが、目は開けるものの起き上がろうともしませんでした。これは病院に連れて行ったほうがよいのではないかと思ったのですが思いとどまり、1日様子を見て、もしこのまま腫れも引かずに元気がないならば連れていくこととしました。

次の朝ネコちゃんの寝床に行ってみると、ネコちゃんは昨日よりは元気になっていました。少し左前脚を引きずるように歩いてはいますが、ずっと歩けるようにもなっていました。左手を見てみると腫れは引いているのですが、そこには出血したというよりも自分で腫れていた箇所を噛んで血抜きをしたような跡があり、何かあるたびにそこを舌でなめていました。その手を見て病院へ連れていこうかどうかと迷ったのですが、エサも昨日よりもずっと食べるようになっていたのでもうしばらく様子を見ることとしました。左手に消毒液を塗布してやろうかとも思ったのですが、舐めまわっているのを見てそれもやめました。すると翌々日は少し足を引きずる感はあるもののずっと元気になり、以前のように走り回り、噛みつきまわるまでに回復したのです。

自己治癒力を高める

今回の一連の騒動を見てみると、どうやらボス猫に噛まれた際に手に何らかの菌が入り、その菌のせいで手が腫れあがったようです。そこでネコちゃんはネコちゃんの持つ自己治癒力を用いて治したようです。ところでこの自己治癒力は猫にだけあるものではありません。基本どの動物も自己治癒力があります。もちろん人間にもあります。この自己治癒力の大きなカギを握っているのが免疫力です。ウイルスや細菌が体内に侵入した時に免疫がそれを退治するために働くわけです。その際に免疫力を高めるためには次のことが必要です。

  • 熱(体温)を上昇させる

インフルエンザにかかると発熱します。これはインフルエンザウイルスが発熱させるのではなく、身体が免疫力を高めるために体温を上昇させるためです。人間の免疫にとって至適温度は37~38℃だそうです。それゆえに身体は体温を上昇させます。ただインフルエンザの場合40℃近くまで体温が上昇するのはインフルエンザウイルスが死滅する温度が40度なので、身体はそこまで体温を上昇させようとしていると思われます。ただし体温が40度以上になると逆に人間の脳にダメージを与えることにもなりかねないため冷やさなければならないのです。

  • 食べる量を減らす

身体が(免疫力を活性化させるために)体温を上昇させるのに皮下脂肪を使うそうです。体についてある脂肪を燃焼させて熱を上げるのです。(おそらくそのために体温が上昇する際には体がブルブルと震えるのだと思われます。)よく風邪を引いた際に栄養をつけなくてはと(消化の良いものを)食べようとしますが、実は食べ物を消化するには多くのエネルギーを使わなければなりません。けれども身体は(食べ物の)消化にエネルギーを使うよりもウイルスとの闘いにエネルギーを集中させたほうがより効果的です。そのため食べない、もしくは最小限の食事量にとどめておく方がよいのです。

  • 寝る(横になる)

立っている、体を動かすことは余計なエネルギーを使うこととなってしまいます。人間の場合立っているだけでも血液を脳までの高さ160㎝程度上昇させなければなりません。けれども横になっていると胸の厚みの40㎝程度で済ますことができます。また体を動かすこと自体エネルギーを使用し、また脳も余計に使用することになり、これもまたエネルギーを消費することとなってしまいます。寝ること(横になること)によって、これもまたエネルギーの使用をウイルス等との闘いに集中させたほうがよいのです。

ということで、病気の際に免疫力を活性化させるためには、体温を上げること、食べる量を減らす、寝る(横になる)の3つが必要なのです。

ネコちゃんが用いた自己治癒力

さて我が家のネコちゃんの一連の行動と病気の際の免疫力を高める方法を比べてみると、まさにネコちゃんは免疫力を向上させる方法をとっていたことが分かります。体温を上昇させていたかは定かではありませんが、猫の体温は人間よりも2度ほど高く38℃ぐらいだそうです(実際先ほど体温計でネコちゃんの体温を測ってみると37.9℃でした)。けれども寝ている間ずっと体を丸くして寝ていたのでおそらく普段よりも体温を上昇させていたものと思われます。食もいつも何か食べさせろとニャンニャン鳴いているのがピッタッと止み、ごく少量食べた後はひたすら寝ていました。まさにエネルギー消費の分散化を避け、体の中に入った菌と闘うことにエネルギーを集中させ、免疫力を増強させていたのです。更に夜中に自分で腫れあがった箇所を噛み、出血させ血抜きを行い、悪いものを外に出し、舐めることによって唾液による消毒を行ってもいたのです。生後6か月のネコちゃんながらしっかり免疫を利用して自己治癒力でもって治したのです。

ネコちゃんはこれら一連の行為を親猫に教わったわけではありません。親猫は生後数週間で我が家のネコちゃんを見捨ててしまって(?)いるのです。すべてはネコちゃんの持つ本能がこれらの行為を行わせたのです。そう考えるとネコちゃんの持つ本能はすごいものがあると感心せざるを得ません。

便利さで失われたもの

けれども考えてみれば人間にも元々自己治癒力が備わっていますし、本能もあります。ただし人間の乳幼児の場合猫などの動物に比べるとずっと(乳幼児期が)長いので、その分免疫力も弱いのかもしれません。更にこれは動物も同じだと思いますが、乳幼児期は成人に比べると抗体が少ない分ずっと抵抗力も弱いものです。

もしこれが人間の子供であり、転んでひざを擦り傷ができたならば、きっと親はまず傷口を消毒して、絆創膏を貼るなどしていたと思います。そして腫れあがるなどしたならば病院に連れていき、先生に診てもらって、必要な処置をしてもらい、更に薬をもらうようにしたと思います。もし冬場に高熱が出てインフルエンザの疑いがあれば即座に病院へ連れていき、抗ウイルス薬~あの(悪名高き?)タミフルもその一つ~を処方してもらう人も多いでしょう。

ところで今回の新型コロナウイルス騒動は、人間はまだその抗体を持っていない未知のウイルスであったこと、ワクチンやウイルス薬もなかったために、世界中が鎖国し、家に閉じこもり、不安でおびえるという大騒ぎとなりました。それと同時に注目され始めたのが免疫力でした。人間の持つ免疫力がこの新型コロナウイルスに対していかに対抗できるかがクローズアップされたのでした。ところがこの免疫力を上げるためには、中には先に書いたような即座にできることもありますが、それ以上に普段の在り方~いかに免疫力を高い状態にしておくか~が関係しているのです。その免疫力を普段から上昇させておくために必要なことは

・適度な運動(歩くこと)

・腸活(腸内フローラ)

・食べ物

・日光に当たる

・ノンストレス

という日常の在り方が大いに関わっているものです。つまりどのような日常生活を送っているかということが大切なのです。

ところが現代人はこの日常生活が大いに乱れているのが実情です。歩くことよりも車に乗ることを優先するようになりました。近所のスーパーにも車で行くのが当たり前のようになっています。肉食を好み、また様々な添加物が使われた出来合いのものを食べるようになっています。そのため日本人の腸内環境は以前に比べるとずっと悪くなっているといわれています。またエアコンを聞かせた室内の仕事を選ぶようになり、椅子に座りつづけるようになっています。そしてPCワークで目を酷使し、人間関係、社会のプレッシャー等に見舞われストレス盛りだくさんの生活をするようになっています。これでは免疫を上げるどころか免疫を下げるようなことを好んでしているようにしか思えない生活を送っているのです。

更に何か体に不調があればすぐに薬を用いたり、病院に行ったりして、自己治癒力を活かそうとすることをなくしてしまいました。西洋医学においては多くの場合その症状の対処を目的としているために、原因そのものに対処することがありません。そのため時には免疫力をアップさせるために熱が上がっているのにも関わらず、解熱剤を服薬し逆に免疫力を落とすようなことにもなっています。そして休むことよりも働くことを善しとしています。全く持って体のサインを無視しているのです。

こうしてみると現代社会は便利になったように見えて、実は不安の要素を増やすようなことばかりしているともいえるのではないでしょうか?ましてや人間の持つ本能などはどこかへ追いやってしまったようにも思えます。

ウイルス騒動からの学び

今回の新型ウイルスが猛威を振るっているのは世界でいうならば、ニューヨーク、ロンドン、武漢などであり、日本でいうならば東京であり、(東京は世界とは傾向が違いますが)患者数、死亡者数ともに突出しているエリアの多くは大都市部です。そこは人間が流通・交通・仕事・流行・生活など人間にとって便利に作り上げた空間です。そのようなところが一番の危険ゾーンとなっているのには何かとても大きな意味があるように思えます。私たちは新型コロナウイルスから何らかの大きな転換を迫られているのではないでしょうか。

3月末からの自粛要請も解除され、(コロナウイルスをやっつけることよりも)ウィズコロナと言われだしました。それではこのコロナウイルスと共に生きていくために今回の騒動から何を教訓として生活を再編していくべきなのでしょうか?新しい生活スタイルなどというものが出されましたが、あれは本当に新型コロナが伝えるところのものなのでしょうか???(全く的外れなような気がして…。)少なくとも自己治癒力を高めることを日常生活に取り入れなければならないのではないでしょうか?できれば身体や心の声に耳を傾け、本能を取り戻すことも必要ではないでしょうか?

ちなみに我が家のネコちゃんはボス猫襲撃闘病事件以来、朝家のドアを開け外に出られるようにしてやると、まずは警戒してあたりを見回し、安全であることを確認してから外に出るようになっています。また外に出てもまずは庭の中での行動で、徐々に慣れてから道路へと出ています。それがネコちゃんの学びであったようです。それでも時にボス猫に襲われ、ギャーと叫び声をあげながら一目散に家に戻ってきています。

ネコも人間も事件や経験から何を学び、それをどう次から活かすかです。自粛政策の中で私もこのところPC作業をすることが多くなっており…(汗)、ネコちゃん以下にならないように気を付けなければと思うこの頃です。

AlexnewworldによるPixabayからの画像



〈参照〉
武田邦彦テレビじゃ言えないホントの話!
インフルラボ




らいふあーと21~僕らは地球のお世話係~

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